dictionary · MCP & Tool Integration
MCPとは?AIと外部ツールをつなぐ標準プロトコルをやさしく解説
MCPとは何かを初心者向けに解説。AIと外部ツール・データがどのようにつながるのか、ServerやClientとの関係も整理します。
定義
MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリケーションと外部のツールやデータを、標準化された方法で接続するためのオープンプロトコルです。
たとえばAIに「社内ファイルを読む」「データベースを検索する」「外部サービスを操作する」といった仕事をさせたい場合、AIだけではその環境へ直接アクセスできません。MCPは、AI側と外部システム側の間に共通の接続ルールを用意し、AIが利用できる機能やデータを一定の形式で扱えるようにします。
MCP公式仕様でも、MCPはAIアプリケーションと外部データソース・ツールを統合するためのプロトコルとして定義されています。
仕組み
MCPを理解するときは、まず Host / Client / Server の3つに分けると分かりやすくなります。
- Host:AIを利用するアプリケーション本体
- Client:Hostの中でMCP Serverとの接続を担当する部分
- Server:AIへツールやデータ、プロンプトなどの機能を提供する側
たとえば、AIアプリからファイル検索機能を使う場合、MCP Serverが「search_files」というToolを公開し、AIアプリ側がMCP Clientを通じてそのToolを利用する、という構成になります。
MCP Serverが提供できる代表的な要素は次の3つです。
Tools
AIモデルが実行できる機能です。
例:
- ファイルを検索する
- データベースへ問い合わせる
- 外部APIを呼ぶ
- 許可されたファイルを書き換える
Resources
AIやユーザーが利用するためのデータやコンテキストです。
例:
- ファイル内容
- ドキュメント
- Gitの履歴
- データベース上の情報
Prompts
ユーザーが利用できる定型的な指示やワークフローです。
MCPでは、これらを共通仕様で扱えるため、AIアプリごとに完全に別の接続方法を作る必要を減らせます。
現在のMCP 2026-07-28仕様では、基本プロトコルはJSON-RPC 2.0を利用し、リクエストはstatelessかつself-containedな方向へ進化しています。これは実装者向けの詳細なので、利用者としては「AIと外部機能をつなぐ共通規格」と理解すれば十分です。
よく混同される概念
MCPとTool Callingの違い
Tool Callingは、AIモデルがどのToolを使うか判断して呼び出す仕組みです。
一方、MCPはAIアプリケーションと外部Toolやデータをどう接続・公開するかを標準化する仕組みです。
つまり、
- Tool Calling = AIがToolを使う仕組み
- MCP = AIアプリとTool提供側をつなぐ共通規格
という違いがあります。
MCP ServerがToolを公開し、そのToolをAIがTool Callingで実行する、という組み合わせも一般的です。
MCPとAPIの違い
APIは、サービスごとに定められた接続方法です。
MCPはAPIを置き換えるものではありません。MCP Serverの内部から既存APIを呼び出すこともできます。
イメージとしては、各サービス固有のAPIを、AIアプリケーションが扱いやすい共通インターフェースとして提供する層としてMCPを利用できます。
MCPとComputer Useの違い
Computer Useは、AIが画面やGUIを見ながら人間に近い方法で操作する方式です。
MCPは、あらかじめ定義されたToolやResourceを構造化された形で利用します。
そのため、同じ「AIに仕事をさせる」仕組みでも、
- APIやToolとして明確に実行できる処理 → MCP
- GUIでしか操作できない処理 → Computer Use
のように役割を分けることができます。
OGINAUとの関係
OGINAUでは、MCPを実際の製品接続に利用しています。
たとえば OGINAU Remote では、AI側からユーザー所有のWindows PCへ直接何でも実行させるのではなく、MCP Serverが許可されたToolを公開し、そのTool Callを認証・権限制御された経路でWindows Connectorへ届ける構成を採用しています。
概念的には次のようになります。
AIアプリ
↓
MCP Client
↓
OGINAU Remote MCP Server
↓
認証・権限制御
↓
Windows Connector
↓
ユーザー所有PC
OGINAU Remoteの開発では、実際にMCP経由でファイル一覧取得・読み取り・書き込み・フォルダ作成などを行う経路を構築し、E2E検証しています。
この経験からも、MCPの価値は単に「AIにToolを追加できること」だけではありません。
AIアプリと外部実行環境の間に、共通のTool契約・認証・権限制御を置けることが大きなポイントです。
一方で、MCPを使えば自動的に安全になるわけではありません。公式仕様も、Tool実行やデータアクセスにはユーザーの同意、適切なアクセス制御、プライバシー保護が必要だとしています。
根拠・一次情報
この記事は、以下の一次情報を基に作成しています。
- Model Context Protocol Specification 2026-07-28:MCPの公式仕様。MCPの定義、Host / Client / Server、Tools / Resources / Prompts、JSON-RPC、Security principlesを確認。
- MCP TypeScript SDK v2 Documentation:2026-07-28仕様を実装する公式SDK。MCP ServerがTools / Resources / Promptsを公開する現在の実装モデルを確認。
- OGINAU Remote 開発記録:MCP Server、Tool公開、OAuth認証、Windows Connectorを組み合わせた実装と、Windows PCへのE2E接続試験を行った社内一次記録。
- OGINAU Browser 開発記録:MCP Client → Gateway → Browser Bridge → Chrome Extensionという経路で、Browser Toolを実ブラウザへ接続した社内一次記録。
公式仕様:
更新情報: 本記事は2026年10月4日時点のMCP公式仕様を確認して作成しています。
まとめ
MCPは、AIアプリケーションと外部のツールやデータを標準化された方法で接続するためのオープンプロトコルです。
重要なのは、MCP自体がAIではなく、AIと外部システムをつなぐ共通の接続ルールだという点です。
MCPを理解すると、AIがファイル、業務システム、ブラウザ、PC、APIなどをどのように「仕事の道具」として利用できるのかが見えやすくなります。